月のコメント 2012年2月
 
 2月に入りました。コメント掲載が遅くなってしまいました。皆様お元気でお過ごしでしょうか。
 去年の12月は菊之助さんの「金閣寺」の雪姫。七之助さんの「お染七役」の指導にも当たらせていただきました。そして自分の歌舞伎公演のお稽古と芝居の稽古三昧の12月末でした。
 年越しは何事もなくいつものように除夜の鐘を聞き「健康・仕事・人との繋がり」を願いながら年を越したわけですが、去年も同じように年を越したなぁ…と思い出すのです。しかし去年の3月11日に東日本大地震があり一昨年から続いている景気の不安定さもあり、劇場や芸術のお仕事は非常に困難な時を迎えているように思います。一昨年から歌舞伎座が閉場したということは幸運だったのか不幸だったのかどちらとも解釈が出来ますが、この困難な時期に歌舞伎座を開けなかったことはそういう意味では良かったのではないかと私は思っています。それでも2012年の年が明けてから困難であるなりに「何とか立ち上がらなければならない」という気持ちが皆に湧いてきたように感じました。お陰様で「初春歌舞伎公演」は連日大勢のお客様にご来場頂きまして無事に千秋楽を向かえることが出来ました。「妹背山女庭訓」という芝居は悲劇で終わる出し物にも関わらず大勢のお客様がお越し下さったことは本当に嬉しく思います。また1月21日から上演開始となりましたシネマ歌舞伎「天守物語」にも大勢のお客様がいらっしゃって下さっているということをお聞きしました。もちろん泉鏡花の作品が3作続くという話題性もありますが、お客様にもどこか「幸せな時を過ごせそう」という気持ちが少しずつ湧いてきたのではないかという気が致します。年を越す時は来年こそは「幸せな年になりますように…」と願いうのですが、毎年ごとに様々な困難な事もやってくるものです。初春公演の「口上」でも申しましたが、去年は歌舞伎界にも大きな先輩方がお亡くなりになり、大変寂しい年になってしまいました。
 こうしてお正月が過ぎていったわけですが、今年に入りますと「いよいよ来年は歌舞伎座が開場するのだなあ」と、感じられるようになったのです。当然のことですが『再来年は開場だ』と言っていた去年よりも来年と言える今年になったことで非常に嬉しく、開場が近く感じるのです。これから歌舞伎座開場に向けて体調も整えていきたいと思っています。
 この2月は2009年に作りました鼓童の「打男」というプロダクションが、パリのシャトレー劇場で2月15日から4日間の公演を行います。そして5月から鼓童の芸術監督としての初日が開き、将来の鼓童の芸術的な方針を立てることと、来年歌舞伎座開場に向かって行くということになります。去年のことを考えますと、この先どんなことが起こるか分からないという思いもありますが、出来る限り力を尽くして前進していきたいというのが今の私の心境でございます。
 20年ぶりに訪れるパリの前後に、ロンドンやパリ、ヴェネツィアなどで色々なお芝居を観たり、世の中を見て自分の将来の人生と仕事のために勉強したいと考えています。そして3月は去年受賞させて頂きました「京都賞」のサンディエゴにおける講演会が行われます。そこでも色々と見聞を広めて行きたいと思います。
 まだまだ寒い日が続きます。皆様もお体に気をつけてお過ごし下さいませ。